一口にキーボードといっても様々な種類が存在しています。特にスイッチ部分はまるで違う構造になっており、それぞれに違った特徴が存在しています。
これらは単にタイピング時の音だけでなく、使用感にも大きな影響を与える部分となっているので、特徴はきちんと把握して選ぶことが重要になります。
この記事では、キーボードで仕様されている各種スイッチについて解説していきたいと思います。
キーボードのスイッチについて紹介
メンブレン
おそらく一番広く普及しているであろう方式のスイッチになります。メンブレンスイッチはラバーカップをキートップで押しつぶした際に、下面に配置されたメンブレンシートに接点が接触することで、スイッチがオンオフされる仕組みになっています。
ゲーム機のコントローラーでも多く採用されていた仕組みになっており、安価でコストを抑えられるのが利点です。
しかし、コストを抑えられることが出来る分、耐久性には難があって、使っているうちにラバーカップが破れてしまい、キーが戻ってこなくなってしまい安い弱点を抱えています。
加えて、グニグニとした打鍵感になるためタイピングしていても心地よさを感じにくく、指も疲れやすいという快適性には劣る部分もあります。
メンブレンでもそのあたりの問題を克服した高級モデルも存在していますが、それらはあまり普及していないので例外みたいなものですね。
パンタグラフ
構造としてはメンブレンに近いのですが、メンブレンがラバーカップの戻りをスプリング代わりにしているのに対して、パンタグラフはひし形のスプリングを内部に入れて、それをバネとして使っています。
部品点数が増える関係で基本的にはメンブレンより高くなるのですが、かわりに構造上、キーボードを平べったくすることが可能であり、薄型キーボードやノートパソコンのキーボード部分に採用されることが多いです。
薄いということはストロークが少ないので、一般的なメンブレンキーボードよりは指が疲れにくいですし、グニグニとした触感がなくてタイピング時にはペチペチという独特な打鍵音と打鍵感を感じることが可能です。
ただ耐久性に関してはちょっと疑問があって、よくノートパソコンのパンタグラフキーボードは、パンタグラフ部分が破損してキートップが取れてまうことがあります。
メカニカル
キーの一つ一つに個別の機械的スイッチを設置する機能になっています。初期の頃はCherry社が独占的に販売していたのですが、現在では多くの会社にその規格にそってスイッチを開発しています。
当初は赤軸、青軸、茶軸、黒軸くらいしかなかったのですが、現在は各社がオリジナリティを求めて好き勝手作った結果、海塩スイッチとかウィステリアスイッチとか、名前だけ聞いてもどういう特色があるスイッチなのかわからないような状態になってしまっています。
一応スイッチは大まかに2つに分けられます。音がカチカチとなりクリック感のあるクリッキースイッチと、クリック感がなくスコスコとした触感のリニアスイッチの二種類です。
このうちクリッキースイッチは音がかなり大きめで、会社で普段遣いするにしてもゲーム中のボイスチャットの時にも邪魔になる可能性があるため、人気度ではリニアスイッチに劣ります。
また、メカニカルスイッチを採用したキーボードは、現在ホットスワップという機能に対応した機種が出てきており、この機能を採用していれば個人でも簡単に交換が可能であるため、スイッチが故障した際の交換修理が簡単に可能となっています。
光学式スイッチ
メカニカル式から派生したスイッチになるのですが、これはスイッチをを押した際に内部のレーザー光が遮られることで、オンオフ判定がされるという仕組みのスイッチになっています。
上記のメカニカルスイッチのように機械的接点でオンオフするスイッチではないので比較的耐久性が高いとされています。
主にRazerとROCCATで一時期採用されていたスイッチ機構になるのですが、コストの問題と後述の新型スイッチの登場により、現在ではあまり見なくなってしまっています。
磁気スイッチ
現在急速に広まりつつあるスイッチです。このスイッチは磁力の判定によりスイッチのオンオフを切り替える仕組みのスイッチとなっています。これもまた上述の光学式スイッチと同じく、機械的な接点を持たないので通常のメカニカルスイッチよりも高耐久となっています。
何故このスイッチが光学式を抑えて現在急速に広まっているかというと、それはラピッドトリガーという機能が実装できる形式のスイッチだからです。
ラピッドトリガーはキーを押した際の移動量を検出し、それによっておきるオンオフ判定を細かくカスタマイズできる機能なのですが、ヴァロラントなどのこれを活用できるゲームが流行っているため、ゲーミングキーボード市場ではこれが求められるようになってきています。
なので一般的なキーボードで使われることは少ない機構ではありますが、ゲーム用のキーボード向けのスイッチとしては通常のメカニカルキーボードの市場を塗り替えていっている、将来有望なしくみとなっているのです。
ただし、この磁気スイッチにも弱点はあります。それはこのスイッチが磁石での判定、つまりスイッチ内部自体は基本的にバネくらいしか存在しておらず、押した際のストロークにショックを吸収するものがありません。その結果内部の基盤に直接指が当たるかのような硬い感触になってしまっており、打鍵感の面ではオリジナルであるメカニカルスイッチには劣ります。
静電容量無接点方式
この方式は、キーが押されることで電極の間の空間が伸縮することで、静電容量が変化してオンオフ判定が切り替わるスイッチとなっています。これもまた機械的接点が存在しないので耐久性が高いです。特にこのスイッチを搭載したキーボードの代名詞であるREALFORCEシリーズは、10年以上使えるとも言われるほどに高耐久なキーボードとなっています。
このスイッチも磁気スイッチと似た感じの仕組みとなっているためか、ラピッドトリガーが実装可能でして、REALFORCE GX1ではしっかりとラピッドトリガーを採用することが可能になっています。
打鍵感に関してはメカニカルとはまた違った感じになっており、これはこれで気持ち良いタイピングを提供してくれると言えるでしょう。
欠点らしい欠点はない素晴らしいスイッチではあるのですが、製造コストが安くない上に、高耐久故に数があまり売れる製品ではないため、これを採用したキーボードは例外なく高級品となっています。
まとめ
- メンブレン:安物キーボードに多い。安物なりの使用感と耐久性。
- パンタグラフ:ノートパソコンに多い。耐久性はあまりよくない印象。
- メカニカル:種類が増えまくっている。ゲーム用途では時代遅れ気味。
- 光学式 :メカ亜種1。高耐久だが廃れている。
- 磁気式:メカ亜種2・ゲーム分野で流行中。ラピトリ対応だが底打ちが硬い。
- 静電容量無接点:高耐久でゲームも向いている。ただし高額。
現在のキーボードのスイッチは、おおよそこんな感じにわけられると思います。昔はメカニカルキーボードも静電容量無接点方式よりちょっと安いけどそれでも高いって感じだったのですが、現在はものによってはメンブレンなみに安かったりもします。
メカニカルスイッチの亜種的なものに、光学式と磁気式も登場したりと、ここ数年でキーボードはかなり大きな発展を遂げているのが面白いですね。