iPod。それはデジタルオーディオプレーヤーの始祖として、SONYのWALKMANとともに最初期の頃から駆け抜けてきたある種伝説の端末です。私自身も学生時代はこのiPodにお世話になったものです。
しかし現在はというとあまり新製品は販売されず、2019年6月頃に四年ぶりにリニューアルモデルとしてiPod touchが販売されたくらいです。なぜあまり新作が販売されないかと言えば、まぁ売れないからでしょう。
あまり売れない理由
iPhoneやスマートフォンの台頭
一番の原因は間違いなくこれです。現在はスマートフォンという非常に便利な端末が存在しており、こいつがデジタルオーディオプレーヤーとしての機能を食ってしまっているからです。iPhoneがあればiPodなんていらないじゃんって人も多いはず。
スマホと比べれば音質は良いんじゃないの? そう思う方もいるでしょうが、同じApple製品なのでiPhoneと比べて音質は大差ないです。それどころかWALKMANを出しているSONYのスマートフォン、Xperiaであれば音質は上といっても良いでしょう。
無線コーデックも追い打ちをかける
コーデックで音質の良し悪しが完全に決定づけられるわけではないですが、iPodはSBCとAACコーデックにしか対応していません。しかし同価格帯のWALKMANではより高音質なaptX系のコーデックにも対応しています。ただでさえ需要の低くなってきたデジタルオーディオプレーヤーなのに、強力なライバルが存在しているというのは中々厳しいでしょう。
iPodもWALKMANと比べて読み込み速度が早い、touchであればスマホばりいろいろ出来るという利点もあるのですが。
安物が現在氾濫中
Amazonなどの通販サイトで検索をかければわかりますが、中華製品の安物デジタルオーディオプレーヤーが現在跋扈している状態です。その多くが粗製乱造品とはいえ7分の1程度の価格で購入できてしまう上に、UIなどが不便な点を無視すれば音質は良いとか、microSDカードで大容量を確保できるなど、iPodの立場を奪いかねないようなものも存在しています。
どこに需要を見出すか
一番安価なiOSデバイス
iPod touchはiOS端末です。それでありながら一番安いモデルなら三万円以下という非常に安価な値段で購入できます。また性能面でみてもエントリーモデルスマホ以上の処理能力は持っているため、ちょっとしたゲームなんかも可能です。
いうなれば電話のできないスマートフォンといった立ち位置です。
小型端末
SIMが入れられないから電話やLTE通信こそできないものの、非常に小型なこの端末は片手操作に最適です。Wi-Fi環境さえあれば手軽なネットサーフィン用端末としても活躍してくれます。
業務用端末として
日本ではあまり見られませんが、海外だとスマートフォンがレジと連携する端末として普及しつつあるようです。ほぼスマホなiPod touchはまさにこの業務用として十分な性能と安さを兼ね揃えており、今後日本でもそういった環境が整っていくのであれば、他社のエントリー向けスマホと並んで活用されることになるでしょう。
スマホのバッテリー温存用
なんでもかんでもスマホでやっていれば、バッテリーが少なくなってしまいます。iPod touchで肩代わり出来ることを行ってやることで、メイン機であるスマートフォンのバッテリーを温存可能です。
総評
純粋なデジタルオーディオプレーヤーとしてみた場合、iPod touchにあまり需要はなさそうです。しかし一番安価な現行iOS端末として考えると中々に有用です。電話及びLTE通信ができない件を除けば、サブスマホとしての運用も可能な便利な端末です。