皆さんは昔の曲と最近の曲を聴いて、なんか今どきの曲って音圧強くないか? 音質微妙じゃね? と感じたことは無いですか?
実はその感想ってあながち間違いでもなくて、今の音源はレコーディング、マスタリングの段階で音圧を爆上げしまくっており、かなり尖った音源になってしまっているのです。
今回はその海苔音源といわれるものについて解説していきます。
昔の曲と今の曲の違い、海苔音源
少なくとも1990年代の頃は、まだ邦楽の音源の音圧は正常でした。
これは1999年11月17日に販売された、aikoが歌ったカブトムシという楽曲の音源の音圧データです。これを見ると強弱がしっかり分かれており、普通の波形データになっているとわかります。
それに対して、こちらは2022年11月1日にて配信スタートした、YOASOBIの祝福という楽曲の音源音圧データです。ガンダムの主題歌なので楽曲自体は知っている人も多いと思います。
で、見ればわかりますが、音圧が上限を振り切っていて、殆どの部分で真っ平らになっているのが割りますよね。こういう海苔みたいに見える波形データを持つ音源を海苔音源と揶揄します。
これでも実が海苔音源としてはマシな方で、ものによってはこの一部の抑揚のある波形部分すら無い、究極の海苔音源もある有様です。
こういう海苔音源は耳に疲れやすく、音圧面での抑揚を感じづらい、無理やり音源を揚げているせいで音割れまでしたりするという問題があって、それが結果的に昔の楽曲の方が音が良いって感想につながってきます。
なんで海苔音源が増えているのか
簡単に言うと、今の日本人の感性がそっちよりだからです。この海苔音源にはマスタリング・エンジニアも苦言を呈しているくらいですが、クライアントがそっちのほうが人気でるから音圧上げまくれと言えば、それに従わざる得ないのです。
ここでいうクライアントというのは、作曲家でもなく歌手でもない、レーベル元のマネージャーだったりおえらいさんだったりで、それにしたってそういう音源を好む層が増えてきているからです。
ではなぜ日本人の多くがそういった音源を好むようになってきているかというと、最近日本市場で流行りの、低価格でそこそこ良い音質のイヤホンの多くがドンシャリ系統のサウンドばかりで、そういった極端な音楽を好むようになっているからでしょう。
特にアニメオタクなんかの層で、この傾向が多いらしく、アニソンの一手を担うランティスに因んで、ランティス音源なんて不名誉な呼び方もあるくらいです。
どういった楽曲に海苔音源が多いのか
一重に最近の邦楽であれば、まず海苔音源を疑った方がいいです。中にはマスタリングにもこだわっていて、まともな音源になっている曲もあるでしょうが、最近の曲は最近のニーズにあったマスタリングをしているので、基本的には海苔音源なことが殆どです。
これはアニソンだったりアイドルソングだったり、そういった楽曲ジャンル関係なくです。
また、昔の曲であってもHDマスタリングとかでハイレゾしてあると、中には不自然な調整で海苔音源みたいに変化してしまっているものもあるので、注意が必要です。
海苔音源は海苔音源として受け入れるのも重要
ただし、これは素人ではどうしようもない事です。音源自体がそういう音源なのだから、我々が下手にいじっても劣化しかしないわけで。
もう今の邦楽はそういうものだと割り切って楽しむのが無難です。
海苔音源が嫌なら洋楽か、90年代までの邦楽をCDで聴くしかないでしょうね。